全国住まい総合情報ブログ

大切にしたい新築する土地の歴史

2011.10.07

新しく建った建造物が、すんなりとまわりに溶け込んでもらいたいからである。目立たないという溶け込み方だけではない。きちんとした個別性をもって、まわりの環境の中で存在感を持ちながら、一体になってもらいたいのだ。そのためには、その土地と向き合う工夫がいる。それが土地の力を知ることであり、それを生かすことだ。「アパートメント傅」のある土地にはアパートが建っていた。その前は漬物をつくっていたらしい。練馬大根の産地が近かったから、それらの野菜をここで漬け込んで、製品にしていたとのこと。しかし、戦後になって、漬物があまり売れなくなってきたのでアパートを三棟建てて、アパート経営を始めたというわけである。木造モルタル二階建ての昭和三〇年代にはよくあったタイプのアパートで、どこか懐かしさすら感じさせる建物だった。ただ、時代から取り残されたような寂しい空間になっていてまわりとの関係を失っていた。このアパートが建っているために、更地に棒を立てて空間を仕切りながらイメージを固めていくという作業はできなかったが、実はその古いアパートが建っていたほぼ同じ場所に今のアパートが建つことになった。日当たりの問題や大きさ、配置などを考えると必然的に同じような位置になるのだろう。

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